私がクラフトビールを飲み始めたころ、最初に思った疑問がこれかもしれないです。クラフトビールってちょっとおしゃれな感じするけど地ビールのこと?まったく違うもの?定義ってなに?っていう疑問。ふわっと知っているくらいだと、なんとなく疑問に思いませんか?
結論先に言っちゃうと、地ビールもクラフトビールも、英訳するとしたら同じcraft beer。その定義は同じようなものです。完全に同義ではないけれど重なる意味、という感じでしょうか。というわけで、今回はクラフトビールの定義と、どんなものなのか?について書いてみたいと思います。
クラフトビールとは
地ビールとクラフトビールの違いを語る前にまずアメリカで言うところの「craft beer」という言葉の意味ですが、「伝統的な製法でビールをつくっていて、小規模で、独立している(大手ビールメーカーの資本が入ったりしてしない)」ブリュワリーでつくられたビールのことを言います。
日本においてその定義がそのまま重なるわけではありませんが、ポジションは同じような感じです。ほぼ大手のビールメーカーがビールをつくっている日本で(アサヒ、キリン、サントリー、サッポロの4社)、それらの大手メーカーのビールとクラフトビールがどう違うのかというと、それは醸造量。
小規模の醸造所で造られた、醸造量の比較的少ないビール…っていうのが、実情に合った表現なんじゃないでしょうか。
クラフトっていうと、手作りとか工芸品とか、そんな意味がありますよね。
材料や作り方が違うビールというのではなく、大手の大量生産と対比して、小規模で職人によって造られたこだわりのビール…のような意味合いの言葉として「クラフトビール」と表現されたという感じです。
クラフトビールの特徴とは
クラフトビールは昔ながらの酒造がつくっているものや小さなブリュワリーが多く、流通量が少ないため一般的に価格が高いです。そして、大手ビールにはない特徴を持った個性的な銘柄が多いです。
たとえば、びっくりするくらい濃厚な黒ビールであったり、甘くまったりとしたバニラの風味のあるビールだったり、オレンジや山椒をきかせたビールだったり。エールタイプという、日本ではそれほど多くない醸造方法のビールだったり。
個性的でなくちゃならない、という決まりはないのですが、スーパーで売っている大手と同じような味のビールなら、大量生産の安いビールのほうを買う人が多いですよね?というわけで、個性を打ち出した「そのブリュワリーならではの」ビールが多いのだと思います。
地ビールって?
そうしたクラフトビールのブームがはじめにやってきたのは1994年のこと。酒税法の改正によって、小規模でもビールを醸造することができるようになった頃のことです。
このとき目立ったのが「ご当地ビール」「地ビール」の存在で、ちょっとした観光振興の流行とでもいいましょうか、お土産や、ご当地モノとしての性格が強いものとしてビールを醸造して販売するのがちょっと流行したようです。
このとき、地域のお土産として売り出されるのが定番になった、それがいわゆる地ビールの源流です。
本来であれば、地域に根ざしている必要はない
クラフトビールの特徴は少なめの流通量、なので、本来はご当地ビールのように地名を冠する必要はなく、地域の名産などと結びついている必要もありません。
そこを考えるには、ホテル・旅館業界などがひとつのたとえになるかと思うのですが、たとえばホテルだとドーミーインとか帝国ホテルとかグリーンプラザとか、全国展開しているチェーンってありますよね?そんなホテルを大手のビールとすると、クラフトビールは地域でやってる一軒宿やペンション、民宿のイメージでしょうか。
大手のようなスケールメリットはありませんが、独立していてそれぞれ個性があるお宿。地域特性を生かした旅館もあれば、地域の特産物などは特に押さずにオーナーの料理の腕で勝負するペンションもある…って感じで、その個性の出し方はそれぞれ。
地ビールは、いわゆる地域の特性を出していたり、地名を冠していたりするクラフトビール、というわけです。